評議員・編集委員 聖路加国際病院産婦人科 顧問 伊藤 博之

赤枝医学研究財団 評議会 伊藤 博之

公益財団法人赤枝医学研究財団(以下、財団)は、平成3年に赤枝恒雄先生(以下、恒雄先生)によって設立されました。私は財団発足当初から評議員として参加させていただいております。

恒雄先生は産婦人科医として六本木で開業され、日本で初めて水中出産を実践して話題になりました。さらに恒雄先生を有名にしたのは、開業の傍ら都内で実施した若者たちへの性教育でした。街の一角に性の無料相談所を設け、深夜まで若者らの話に耳を傾けたり、エイズの無料検診までも行っていました。こうした街中での活動は当時、テレビやラジオでも大きく報道されました。恒雄先生の笑顔と人懐っこい性格が若者達も惹き付けたのでしょう。さらに先生はオリジナルのコンドームを作ってコンビニで気軽に買えるようにもしました。

ある時、雑誌記者が「日本の国際貢献には愛情がない」といった一言が恒雄先生の心に火をつけて国際支援を始める切っ掛けになったようです。ご自身はすぐに発展途上国への視察に出発されました。視察は、パキスタン・アフガニスタン・バングラデシュ・ネパール・タイなど幅広い地域にわたりました。それらの地域で目にしたのは、日本からの支援のあり方がやはり不十分・不親切であるという実情でした。

帰国後恒雄先生は、一個人としてでも何とかできないものかと思案され、支援のためにはまず、財団を設立することが必須であると思い至り、その設立準備作業に入ったのです。しかし財団設立は容易でなく、資金調達はもとより他にも幾多の課題があったようです。

そのときに力になってくれたのが兄の雄一先生で した。雄一先生の広い人脈によって難問も解決でき、無事、財団法人の認可を得ることができました。

赤枝医学研究財団 初代理事長とともに

財団の事業活動の趣旨は、御尊父の日出雄先生が長年にわたって取り組んでこられた「女性の不定愁訴に関する研究」への助成としました。不定愁訴というのは思春期から更年期さらには老年期まで女性の一生にわたるもので、未だにその原因さえ十分に解明されていないテーマです。研究助成を主たる目的とする財団では、全国の各地から研究論文を募り、選考の上で助成を決定することにしました。

財団のもう一つの事業としては、恒雄先生が財団設立時に目指した国際医療支援があります。具体的に実現しているのは、バングラデシュの国立バングラデシュ母子保健センター内に1994年、赤枝・桶谷母乳促進センターを設立したことでした。当時のバングラデシュは医療事情が悪いうえに母乳に関する知識が低くて、乳児の発育も思わしくなく多数の新生児死亡例もありました。このセンターでは、現在も多数の妊産婦が通院しており、現地の母児の救命に大きく貢献しています。

ここで私と恒雄先生との繋がりについてご紹介します。二人とも同じく産婦人科医であり、日頃から学会や研究会で顔を合わせることが多く、診療に関する情報交換からプライベートのことなどまで、公私にわたりいつも親しくさせてもらっています。

恒雄先生の長所は、まずアイデアマンであること。また、何事にも決断が早く実行力に富んでいること。誰からも好かれること等々、多くあります。そうしたアクティブなキャラクタと優れた問題解決能力によって、港区医師会長、東京都医師会監事、東京医大理事など多くの要職を歴任されてもきました。

さらに平成24年には衆議院選挙に出馬され、多くの予想に反し見事当選されて今日に至っています。この結果を受けて財団の代表理事は兄、雄一先生に引き継がれました。20年にわたって財団のトップとしてその発展に貢献されたこと、改めて心から敬意を表します。

次に現在の代表理事でいらっしゃる雄一先生につ いても御紹介致します。雄一先生は物静かで冷静沈着な外見にもかかわらず、恒雄先生に勝るとも劣らぬ抜群の決断力と行動力をお持ちで、スケールの大きな方です。ですから雄一先生もまた、日本病院協会顧問、全国老人保健施設協会理事、神奈川県老人施設協会会長など数々の要職に就かれていらっしゃいます。さらに現在では、地域医療の向上を目指しての看護学校の設立に取り組んでおられます。

雄一先生の人脈も驚くほど幅広くて、じつに大勢の友人がいらっしゃいます。若い頃からスポーツマンでもあり、近年でも三浦雄一郎氏らとアルプスに登られたり、南極への冒険旅行に出かけられてもいます。

雄一先生が代表理事に就かれて財団の役員構成も 一新されました。研究助成のテーマもこれまでの女性の不定愁訴には限定せず、女性の生涯にわたる疾患の基礎的・臨床的な研究も対象となりました。その結果、研究助成の応募数も年ごとに増加してきています。

雄一先生のアイデアと実行力によって、これからの財団は更なる発展が約束されています。私も微力ながら多少なりとお手伝い出来ればと願っております。

公益財団法人 赤枝医学研究財団
評議員・編集委員 伊藤 博之
聖路加国際病院産婦人科 顧問


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